コラム

フリーランス法は会社員の副業にも関係する?契約・支払期日・禁止行為を解説

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最終更新日:2026年8月28日

会社員が企業からWebライティング、デザイン、動画編集、システム開発、講師などの仕事を業務委託で受けるとき、「自分は会社員だからフリーランス法とは無関係」と考えていないでしょうか。

フリーランス法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。2024年11月1日に施行され、取引条件の明示、報酬の支払期日、一定期間以上の契約における禁止行為、ハラスメント対策などを発注事業者に求めています。

この記事では、公正取引委員会のQ&A厚生労働省の制度案内、施行前調査、2026年の勧告事例を基に、会社員の副業へどう関係するのかを整理します。

※本記事は2026年8月28日時点の一般的な制度解説です。個別の契約や紛争は、取引実態によって結論が変わります。

会社員でも副業の業務委託では対象になり得る

本業で会社に雇用されていても、別の事業者から従業員を使わずに副業を受託する範囲では、フリーランス法上の「特定受託事業者」に該当し得ます。

厚生労働省と公正取引委員会は、会社員が他の事業者から業務委託を受ける場合も対象になり得ると明記しています。大切なのは肩書ではなく、相手との取引関係です。

副業の形フリーランス法主に確認する制度
別会社でアルバイトをする原則として対象外労働基準法、労働契約法など
企業から記事作成やデザインを業務委託で受ける対象になり得るフリーランス法、契約に関する民法など
従業員を使わず、法人から開発・運用を受託する対象になり得るフリーランス法
一般消費者から私生活用の制作を直接頼まれる原則として対象外民法、消費者関係法令など
完成済みの商品をそのまま販売する通常は「業務委託」に当たらない売買契約に関するルール
契約名は業務委託だが、実態は指揮命令下の労働発注者との関係では対象外となり得る実態に応じて労働関係法令

なお、開業届を出したか、インボイス登録をしたか、副業所得が20万円を超えたか、税務上の所得区分が事業所得か雑所得かは、フリーランス法の定義に掲げられた適用条件ではありません。これらは別の物差しです。税務上の違いは、副業は雑所得と事業所得のどっち?判断基準・税金・赤字の違いで解説しています。

フリーランス法の対象か5段階で判断する

「会社員か」ではなく、受注先、契約の実態、従業員の有無、仕事の内容、発注者の体制を順番に確認すると判断しやすくなります。

順番確認項目確認内容
1相手が事業者か会社、法人、個人事業主などが、その事業のために発注しているかを確認します。
2雇用か業務委託か別会社のアルバイトではなく、事業者として仕事を引き受けているかを確認します。契約名ではなく実態が優先されます。
3仕事が「業務委託」か物品の製造・加工、プログラム・文章・画像・音源などの情報成果物の作成、または役務の提供を依頼されているかを確認します。
4自分が従業員を使っていないか原則として、週20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者を、副業の事業で使っていないかを確認します。本業の会社が自分を雇っていることとは別です。
5発注者が従業員を使っているか取引条件の明示は広い発注事業者に課されます。一方、60日以内の支払いや7つの禁止行為などは、従業員を使用する個人、または役員が2人以上いるか従業員を使用する法人である「特定業務委託事業者」が中心です。

    たとえば、会社員が休日に一人で記事を書き、メディア運営会社へ納品する取引は対象になり得ます。一方、同じ人が土曜日だけ別会社の指示どおりに勤務し、時給で給与を受け取る場合は、通常は雇用の問題です。

    契約名と実態の整理から始めたい場合は、副業の業務委託契約書で確認すべき12項目も参考にしてください。

    発注者と契約期間によって義務の範囲が変わる

    フリーランス法は一律ではなく、「発注者の体制」と「業務委託の期間」によって受けられる保護が増える仕組みです。

    発注者の義務・禁止事項主な対象となる発注者期間の条件
    書面・メールなどによる取引条件の明示フリーランスへ業務委託する事業者単発を含む
    受領日・役務提供日から原則60日以内の支払い従業員を使う個人、または役員2人以上・従業員ありの法人単発を含む
    受領拒否、減額、買いたたきなど7つの禁止行為同上1か月以上
    募集情報を正確・最新に保つ同上期間を問わない
    ハラスメント相談体制の整備同上期間を問わない
    妊娠・出産・育児・介護との両立への必要な配慮同上6か月以上は義務、6か月未満は努力義務
    中途解除・不更新の原則30日前予告、求められた場合の理由開示同上6か月以上

    単価3,000円の単発案件だから取引条件を明示しなくてよい、という金額基準はありません。ただし、1か月未満の案件には7つの禁止行為の規定がそのまま適用されないなど、保護範囲には違いがあります。適用外の場面でも、民法、独占禁止法、取適法などが問題になる可能性は残ります。

    契約時に明示されるべき取引条件

    正式な契約書への署名がなくても契約が成立する場合はありますが、発注者は業務委託をした時点で、直ちに必要事項を書面または電磁的方法で明示する必要があります。

    公正取引委員会のQ&Aで整理されている主な明示事項は次のとおりです。

    項目会社員の副業での確認例
    発注者と受注者を識別できる名称会社の正式名称、自分の氏名・屋号など
    業務委託をした日依頼内容と受注に合意した日
    給付・役務の内容3,000文字の記事1本、バナー3点、動画10分など
    受領・役務提供の期日納品日、出演日、月次運用の対象期間など
    受領・役務提供の場所指定システム、メール、現地会場など
    検査完了日検査をする場合の完了予定日
    報酬額税込・税別、数量、単価、算定方法、経費の扱い
    支払期日「翌月末まで」ではなく、特定できる支払日
    現金以外で支払う場合の必要事項支払手段、金額、期日など

    具体額を決められないやむを得ない事情がある場合は、金額が自動的に確定する算定方法を示す方法があります。未定事項がある場合も、未定の理由と決定予定日を明示し、決まったら直ちに補充する必要があります。

    法定項目だけでは、無料修正の回数、著作権、素材費、秘密保持、途中キャンセル時の精算までは十分に決まりません。実務では、業務委託契約書の12項目まで確認してください。成果物の著作権を譲渡・許諾させる場合、範囲を給付内容として明確にし、その対価を報酬へ反映する必要があると公正取引委員会は説明しています。

    報酬の支払期日は「請求日」ではなく受領日から原則60日以内

    報酬は、成果物を受け取った日または役務の提供を受けた日を1日目として、原則60日以内のできる限り短い期間に支払期日を定め、その日までに支払う必要があります。

    この義務は、主に従業員を使う個人や、役員が2人以上いるか従業員を使う法人から受注した場合に関係します。起算日は仕事の種類で異なります。

    • 物品の製造・加工:発注者が物品を受け取り、占有した日
    • 記事・デザイン・プログラムなど:メールやシステムで発注者のコンピューターに記録された時点など
    • 役務の提供:個々の役務を提供した日。一連の役務に日数が必要な場合は、原則として終了日

    検収や請求書の提出を待って起算するわけではありません。公正取引委員会は、請求書が提出されていなくても、あらかじめ定めた期日までに支払う必要があると説明しています。

    支払条件判断のポイント
    支払期日を定めていない実際の受領日・役務提供日が支払期日とみなされる
    受領日から60日を超える日を設定受領日から60日を経過する日が法定の支払期日となる
    月末締め・翌月末払い月単位の締切制度では「2か月以内」として運用され、61日・62日になる場合も直ちに問題とされない
    金融機関休業日のため翌営業日に順延順延が2日以内で、事前に書面・電磁的方法で合意するなどの条件を満たせば扱いが認められる
    請求書受領後60日以内納品から請求書受領までの日数が加わるため危険。期日も特定しにくい
    再委託の例外再委託である旨、元委託者、元委託の支払期日を明示すれば、元委託支払期日から30日以内に設定できる場合がある

    「60日以内」は発注者が自由に60日間待てる猶予ではありません。以前は納品後すぐに払っていたのに、法律を理由として一律60日後へ延ばすことは、「できる限り短い期間」に反し、問題になる可能性があります。

    請求金額、源泉徴収、消費税、実際の振込額を整理する方法は、副業の見積書・請求書の作り方副業で源泉徴収されたらどうする?をご覧ください。

    比較データと独自計算|発注者と受注者の認識には大きな差がある

    法施行前の公的調査では、問題を経験したと答えた割合が受注者側で大幅に高く、支払遅延の認識差は約5.9倍、報酬減額は約9.4倍でした。

    公正取引委員会と厚生労働省が2024年に実施したフリーランス取引の状況についての実態調査は、委託者1,090者、フリーランス782人の回答を集計しています。次の「回答比」は、受注者側の割合を発注者側の割合で割った当サイトの独自計算です。

    経験・行為発注者側受注者側受注者側÷発注者側
    取引条件を明示しなかった・されなかったことがある17.4%44.6%約2.6倍
    60日以内に支払わなかった・支払われなかったことがある4.8%28.1%約5.9倍
    報酬を減額した・されたことがある3.0%28.1%約9.4倍
    内容変更の費用を負担しなかった・してもらえなかったことがある0.5%21.1%約42.2倍
    やり直し費用を負担しなかった・してもらえなかったことがある0.4%13.7%約34.3倍

    これは同じ取引を一対一で照合した調査ではなく、施行前の自己申告です。そのため、倍率を市場全体の違反率と解釈することはできません。ただし、発注者が「説明した」「問題はない」と考えていても、受注者には条件が伝わっていない可能性を示すデータです。

    支払いが遅れる影響も計算できます。月8万円の継続案件で、平均入金が納品30日後から60日後へ延びれば、追加で約8万円の売掛金を自分で立て替える状態になります。

    • 追加で拘束される資金の概算=月間売上×追加遅延日数÷30日

    副業は本業の給与があるため影響が小さいと思われがちですが、ソフト代、外注費、交通費を先に払う案件では、支払サイトがそのまま資金負担になります。

    1か月以上の契約で禁止される7つの行為

    従業員を使用する発注者などが1か月以上の業務委託を行う場合、合意書に書けば何でも有効になるわけではなく、受領拒否・減額・買いたたきなど7つの行為が禁止されます。

    禁止行為内容副業で起こり得る例
    受領拒否受注者に責任がないのに納品物を受け取らない社内方針の変更だけを理由に、完成した記事の納品を拒む
    報酬の減額受注者に責任がないのに発注時の報酬を後から減らす事務手数料や振込手数料を一方的に差し引く
    返品受注者に責任がないのに受領後の物品・成果物を返す発注者の販売不振を理由に受領済み制作物を返品する
    買いたたき通常の対価より著しく低い報酬を不当に定める必要経費の上昇を協議せず、相場から大きく低い単価を一方的に設定する
    購入・利用強制正当な理由なく指定商品・サービスを買わせる発注者や関係会社の有料講座、保険、機材を契約条件として買わせる
    不当な経済上の利益の提供要請金銭、役務、権利などを不当に無償提供させる本案件とは別の体験業務、宣伝投稿、著作権の追加利用を無償で求める
    不当な内容変更・やり直し受注者に責任がない変更や再作業の費用を負担しない納品後に仕様を変え、追加報酬なしで全面修正させる

    2026年1月1日以降に行われた1か月以上の業務委託では、受注者との合意の有無にかかわらず、振込手数料を報酬から差し引くことは報酬の減額に当たる、という運用が公正取引委員会の最新Q&Aで示されています。

    ただし、源泉徴収義務に基づく所得税の控除や、プラットフォームが利用規約に基づいて受注者へ別途課すシステム利用料まで、すべて同じ「報酬減額」になるとは限りません。誰が、どの契約に基づき、何の費用を差し引いたかを分けて確認してください。

    過去事例|2026年の勧告は「基本的な事務処理」に集中している

    実際の勧告では、極端な契約だけでなく、条件を直ちに示さない、支払期日を決めない、請求書の遅れを理由に支払わない、手数料を差し引くといった日常的な運用が問題になっています。

    公正取引委員会の令和8年度勧告一覧から、会社員の副業にも関係しやすい事例を整理します。件数と金額は公表資料に基づきます。

    事業者・勧告日公表された主な問題副業をする人への教訓
    KADOKAWA
    2026年6月11日
    原稿作成などを委託した113名について、条件の全部・一部を直ちに明示せず、支払期日も定めていなかった有名企業との取引でも、発注時の条件通知を自分で保存する
    エス・ピー・シー
    2026年6月18日
    84名への条件明示不足、31名への支払遅延、36名から振込手数料計55,770円を控除請求書提出や社内処理の遅れは、当然に支払遅延の理由にはならない
    シアー
    2026年5月19日
    1,674名に対し、入会前の消費者向け体験レッスンを無償で行わせた「体験」「研修」「宣伝」という名称でも、発注者の利益になる無償業務は確認が必要
    ジェイトップ
    2026年8月26日
    138名への報酬から、実際の振込手数料を超える計481,031円を差し引いた契約書に手数料負担と書かれていても、差引額と現在の運用を確認する

    令和7年度の運用状況では、違反事実があるとして公正取引委員会へ604件の申出がありました。違反被疑事件1,597件を処理し、10件の勧告と1,542件の指導、合計1,552件で措置を講じています。処理した違反被疑事件の約97.2%に当たりますが、これは調査対象となった疑いのある事件の数字であり、全取引の97.2%が違反という意味ではありません。

    勧告10件の違反類型では、取引条件の明示義務違反が10件、支払義務違反が9件でした。独自分析として、法対応の中心は難しい契約理論よりも、「発注時に条件を残す」「納品日を記録する」「支払日を固定する」という基本事務にあると考えられます。

    単発案件を繰り返す場合は1か月・6か月の合算に注意する

    契約書が毎回「単発」でも、同じ当事者が似た仕事を繰り返し、契約間の空白が1か月未満なら、更新により継続する業務委託として期間を通算する場合があります。

    1か月以上になると7つの禁止行為、6か月以上になると育児介護等への配慮や中途解除・不更新の30日前予告が関係します。公正取引委員会は、前後の契約について次の2条件を確認すると説明しています。

    1. 契約の当事者が同じで、給付・役務の内容に一定程度の同一性がある
    2. 前の契約終了後から次の契約開始前までの空白期間が1か月未満である

    内容の同一性は、機能・効用・態様などを考慮し、原則として日本標準産業分類の小分類も参照されます。公式Q&Aでは、歌手Aの楽曲Xの編曲後に歌手Bの楽曲Yを編曲する場合も、一定程度の同一性がある例として示されています。

    たとえば、毎月1本の記事を個別発注書で受け、次の発注まで2週間しか空かない状態が半年続いた場合、「毎回単発だから6か月未満」と即断しないでください。基本契約、最初の発注日、各納品予定日、契約終了日、空白期間を並べて確認します。

    フリーランス法・労働法・税務・就業規則を混同しない

    同じ会社員の副業でも、取引保護、労働者保護、税金、本業会社との関係は別々の制度で判断され、一つの結論が他の結論を自動的に決めるわけではありません。

    確認する物差し主な質問フリーランス法との関係
    フリーランス法事業者間の業務委託か、従業員を使っていないか取引条件、支払期日、禁止行為などを規律
    労働関係法令指揮命令、時間・場所の拘束、報酬の性質などから実態が労働者か実態が労働者なら、発注者との関係では労働法が中心
    所得税・住民税給与所得、事業所得、業務に係る雑所得のどれか、申告が必要か適用の有無を直接決めない
    本業会社の就業規則届出・許可、競業、秘密保持、長時間労働の制限があるかフリーランス法の保護があっても別途守る必要がある
    民法・契約解除、債務不履行、損害賠償、報酬請求をどう処理するかフリーランス法と並行して問題になり得る
    取適法委託内容と当事者が適用要件を満たすか両法が適用される場合があり、必要事項を一つの発注書にまとめることも可能

    副業所得が20万円以下でも、フリーランス法の対象になり得ます。反対に、年間売上が大きくても、副業先と雇用契約を結んでいるなら、その関係は通常フリーランス法ではなく労働法の問題です。申告の基準は、副業所得が20万円以下なら確定申告は不要?で確認してください。

    よくある誤解を反証する

    「会社員だから対象外」「20万円以下なら対象外」「請求書がなければ払わなくてよい」という理解は、いずれも適用判断を誤らせます。

    よくある主張正しい整理
    会社員はフリーランスではない本業では労働者でも、他社から業務委託を受ける範囲では特定受託事業者になり得る
    副業所得20万円以下なら法律は関係ない20万円は一定の給与所得者の所得税申告で使う基準であり、取引保護の適用基準ではない
    開業届を出していないから対象外開業届の提出はフリーランス法の定義要件に入っていない
    小さな単発案件なら何も明示しなくてよい取引条件の明示には、金額や1か月以上という下限がない
    契約書がないので保護されない口頭で契約が成立する場合もあるが、発注者には書面・電磁的方法による条件明示義務がある
    請求書が来るまで支払わなくてよい請求書の有無にかかわらず、受領日から定めた期日までの支払いが必要
    法律に60日とあるので、以前より遅くしてよいできる限り短い期間という要件があり、法律だけを理由に従来より遅くすることは問題になり得る
    安い案件はすべて買いたたきである通常の対価より著しく低く、不当に定めたかを個別に判断する。単に希望単価より安いだけでは決まらない
    契約書に振込手数料控除と書けば問題ない2026年1月1日以降の1か月以上の委託では、合意の有無にかかわらず報酬減額に当たるという運用が示されている
    行政へ申し出れば自動的に入金される行政措置と民事上の回収は同じではない。交渉、和解あっせん、訴訟などが別に必要な場合がある

    条件不足・支払遅延・不当な修正があったときの対応

    最初に行うべきことは感情的な抗議ではなく、発注、納品、受領、請求、入金を一つの時系列へまとめ、何が不足し、いつまでに何を求めるかを書面で示すことです。

    順番対応項目具体的な内容
    1取引資料を保存する募集画面、提案文、契約書、発注書、メール、チャット、利用規約を保存します。
    2発注内容を固定する発注日、成果物、数量、単価、納品日、修正範囲、著作権の扱いを書き出します。
    3納品と受領を証明する送信時刻、ファイル履歴、受領メッセージ、検査結果を残します。
    4支払期日を計算する請求日だけでなく、受領日・役務提供日を起点に確認します。
    5差引額を分解する源泉徴収税、プラットフォーム利用料、振込手数料、事務手数料を分けます。
    6事実確認を送る不足している取引条件、支払予定日、追加作業に対する報酬を具体的に質問します。
    7窓口を選ぶ取引条件・支払い・7つの禁止行為は公正取引委員会や中小企業庁、就業環境は都道府県労働局へ相談します。民事上の解決については、弁護士相談や和解あっせんを検討します。

      確認文の例
      ○月○日に受託した「○○」について、○月○日に納品し、同日に受領のご連絡をいただいています。発注時の資料では、報酬額は○円ですが、支払期日と追加修正の取扱いを確認できません。支払期日を具体的な日付で、追加修正が必要な場合は内容・回数・追加報酬を、記録に残る方法でご提示ください。

      法違反と思われる行為は、フリーランス法に基づく申出窓口から申し出られます。申出を理由とする契約解除や取引停止などの不利益な取扱いは禁止されています。

      違反か判断できない、未払い金の回収方法も相談したいという場合は、厚生労働省委託事業のフリーランス・トラブル110番を利用できます。弁護士への電話・メール相談や和解あっせんは無料です。

      会社員が副業を受注する前のチェックリスト

      受注前に10分だけ使い、対象判定・契約条件・支払・証拠の4群を確認すると、納品後に交渉する負担を減らせます。

      順番確認すること残す証拠
      1雇用か業務委託か契約書、募集要項
      2発注者の正式名称と連絡先会社情報、担当者メール
      3自分が副業で従業員を使うか雇用状況のメモ
      4成果物・数量・仕様・納品場所発注書、仕様書
      5報酬、税込・税別、経費見積書、単価表
      6具体的な支払期日発注書、支払条件
      7検査日、修正回数、追加料金検査基準、修正条件
      8著作権の譲渡・利用範囲と対価権利条項
      9契約期間と過去契約の空白期間基本契約、過去の発注一覧
      10本業の就業規則、競業・秘密保持就業規則、届出記録

      フリーランス法と会社員の副業に関するよくある質問

      迷ったときは、「本業の身分」ではなく「その受注先との関係」を一件ずつ判定してください。

      質問回答
      フリーランス法の対象になると、本業の会社へ連絡が行きますか?フリーランス法の適用自体を理由に、本業会社へ届け出る制度ではありません。ただし、本業の就業規則に副業の届出・許可、競業、秘密保持に関する規定がある場合は、別途確認が必要です。
      開業届を出していない会社員も対象ですか?対象になり得ます。開業届の有無ではなく、他の事業者から事業として業務委託を受け、従業員を使っていないかなどで判断します。
      クラウドソーシングの案件にも関係しますか?関係する可能性があります。プラットフォームが単なる仲介者か、自ら発注する事業者か、クライアントと誰が契約する仕組みかを利用規約と発注画面で確認してください。
      1回だけの案件でも60日以内に支払われますか?発注者が特定業務委託事業者に当たる場合、支払義務は単発案件にも関係します。7つの禁止行為の規定は、原則として1か月以上の委託が対象です。
      途中キャンセルなら必ず全額を請求できますか?フリーランス法だけで、あらゆるキャンセル時の全額支払いが自動的に決まるわけではありません。契約期間、完成度、キャンセル原因、禁止行為への該当性、契約条項などから判断します。着手金や段階払い、キャンセル料を受注前に決めておくことが重要です。
      相談や申出をすると、必ず相手が処罰されますか?相談、申出、調査、指導、勧告、命令はそれぞれ異なります。命令違反などには50万円以下の罰金がありますが、申出だけで直ちに刑事罰が科される仕組みではありません。

      まとめ

      会社員でも、他の事業者から従業員を使わずに業務委託を受ける副業では、フリーランス法の保護対象になり得ます。

      • 本業が会社員かではなく、受注先との契約関係で判断する
      • 開業届、20万円基準、所得区分はフリーランス法とは別問題
      • 取引条件は発注時に書面・メールなどで明示される必要がある
      • 報酬は受領日・役務提供日から原則60日以内のできる限り短い期間に支払う
      • 1か月以上では7つの禁止行為、6か月以上では両立配慮や解除予告が関係する
      • 短い個別契約でも、同種の仕事と1か月未満の空白が続けば通算される場合がある
      • トラブル時は、発注・納品・受領・請求・入金を時系列で保存する

      最も実務的な対策は、法律名を相手に突き付けることではありません。発注日、業務内容、報酬、納品日、検査日、支払日、修正条件を受注前に一枚へまとめ、合意した版を保存することです。

      関連ページ

      フリーランス法の確認後は、契約書、見積書・請求書、源泉徴収、所得区分をつなげると、副業の受注から確定申告まで一貫して管理できます。

      主な一次資料

      制度や運用は更新されるため、個別判断の前には最新の公正取引委員会・厚生労働省資料を確認してください。

      本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別案件への法律意見ではありません。未払い額が大きい場合、解除・損害賠償・労働者性が争点になる場合は、契約書と取引記録を用意して専門窓口へ相談してください。