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副業所得が20万円以下なら確定申告は不要?住民税との違い

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最終更新日:2026年8月18日

「副業の収入が20万円以下なら、確定申告も税金の支払いも不要」と聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、この説明は正確ではありません。

20万円以下で確定申告を省略できるのは、年末調整を受けた会社員など、一定の条件を満たす給与所得者です。

さらに、この20万円ルールは所得税の制度です。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。

この記事では、副業所得20万円以下で確定申告が不要になる条件、売上と所得の違い、住民税の申告方法、具体的な判定例を解説します。

※本記事は2026年8月18日時点の制度を基にした一般的な解説です。個別の判断は税務署、居住する市区町村、税理士へ確認してください。

副業所得が20万円以下でも無条件で確定申告不要ではない

副業所得が20万円以下なら誰でも確定申告不要になるわけではなく、会社員向けの申告省略制度と考える必要があります。

一般的な会社員で、勤務先が1社、本業の給与について年末調整を受けており、副業などによる給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告を省略できます。

ただし、住民税には同じ20万円の申告省略制度がありません。所得税の確定申告をしない場合は、原則として市区町村へ住民税の申告を行います。

状況所得税の確定申告住民税の申告
年末調整済みの会社員で、業務委託などの副業所得が20万円以下原則不要原則必要
年末調整済みの会社員で、副業所得が20万円を超える原則必要確定申告をすれば別途申告は不要
副業がアルバイトで、年末調整されていない給与収入などの合計が20万円以下原則不要となる場合がある原則必要。勤務先の給与支払報告書の提出状況も自治体へ確認
医療費控除などを受けるため確定申告する20万円以下の副業所得も含めて申告別途申告は原則不要
専業フリーランス・個人事業主20万円ルールでは判定できない所得や控除の状況により必要

所得税の「20万円ルール」が適用される条件

20万円は副業の非課税枠ではなく、一定の給与所得者について所得税の確定申告を省略できる基準です。

国税庁は、給与を1か所から受け取り、その給与が源泉徴収の対象となる人について、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要になると案内しています。

勤務先が1社の会社員の場合

一般的な会社員が20万円ルールを利用するには、本業の勤務先で年末調整を受けていることが重要です。

代表的な条件は次のとおりです。

  • 本業の給与収入が年間2,000万円以下
  • 給与を1か所から受け取っている
  • 本業の給与が源泉徴収の対象になっている
  • 勤務先で年末調整を受けている
  • 給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円以下
  • 医療費控除などのために確定申告を行わない

ここで判定する20万円は、副業ごとではなく対象となる所得の合計です。Webライターで12万円、動画編集で9万円の所得があれば、合計21万円となり、原則として確定申告が必要です。

勤務先が2社以上ある場合

副業がアルバイトなどの給与である場合は、経費を差し引いた所得ではなく、年末調整されなかった給与の収入金額を使う点に注意してください。

給与を2か所以上から受け取っている場合は、次の合計額が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。

  • 年末調整されなかった給与の収入金額
  • 給与所得・退職所得以外の所得金額

例えば、副業アルバイトの給与収入が15万円、業務委託による所得が7万円なら、判定額は合計22万円です。

20万円ルールを利用できない主なケース

会社員ではない人や、別の理由で確定申告が必要な人は、副業所得だけを見て申告不要とは判断できません。

次のような場合は、20万円以下でも所得税の確定申告が必要になる可能性があります。

  • 本業の給与収入が2,000万円を超える
  • 個人事業やフリーランスを本業としている
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
  • 給与について適切な源泉徴収が行われていない
  • 医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告する
  • 副業以外に不動産所得、暗号資産の利益などがある

専業フリーランスや個人事業主は、「副業所得20万円以下」という基準ではなく、年間の所得、所得控除、税額控除などを使って申告義務を判定します。

20万円は売上ではなく所得で判定する

業務委託や広告収入などの副業では、原則として売上から必要経費を差し引いた「所得」で20万円を判定します。

国税庁は、業務に係る雑所得を次のように計算すると案内しています。

副業所得=副業の総収入金額-必要経費

例えば、Webライターとして年間30万円の報酬を受け取り、仕事に必要な費用が12万円だった場合、所得は18万円です。

項目金額
副業の売上・報酬300,000円
必要経費120,000円
副業所得180,000円

一定の条件を満たす会社員なら、所得税の確定申告を省略できる可能性があります。ただし、住民税の申告は原則として必要です。

副業の必要経費にできる可能性があるもの

経費にできるのは、副業収入を得るために直接必要だった費用や、業務上必要だった費用です。

  • クラウドソーシングサイトの手数料
  • 仕事に使用するソフトウェアや生成AIの利用料
  • 取材・打ち合わせに必要な交通費
  • 業務用の書籍や教材費
  • 仕事専用のレンタルサーバー代やドメイン代
  • パソコンやカメラなどの業務使用分
  • 通信費や電気代のうち、副業に使用した合理的な割合

私生活と共用しているパソコン、通信回線、電気代などは、全額を経費にできるとは限りません。使用時間や使用面積など、合理的な基準で家事按分し、計算根拠を残します。

また、高額なパソコンや機材は、購入した年に全額を経費にできず、減価償却が必要になる場合があります。

副業アルバイトは収入金額で判定する

アルバイトやパートとして雇用されている場合は給与所得となり、20万円判定では年末調整されなかった給与の収入金額を使用します。

業務委託報酬のように、パソコン代、交通費、通信費などを自由に差し引いて判定することはできません。

副業の契約形態20万円判定で使う金額
業務委託・広告収入・原稿料など原則として収入から必要経費を差し引いた所得
アルバイト・パートなどの雇用契約年末調整されなかった給与の収入金額

契約書、給与明細、源泉徴収票、支払調書などを確認し、自分の副業が給与なのか業務委託なのかを区別してください。

所得税と住民税では20万円以下の扱いが違う

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告まで不要になるとは限りません。

比較項目所得税住民税
税金を課す主体都道府県・市区町村
主な申告先税務署1月1日時点で住所がある市区町村
給与所得者の20万円ルール一定条件で申告を省略可能同じ申告省略制度はない
確定申告をした場合税務署へ申告確定申告の情報が自治体へ送られるため、別途申告は原則不要
確定申告をしない場合条件を満たせば手続き不要副業所得があれば原則として申告が必要

住民税には所得税と同じ申告省略制度がない

住民税では、副業所得が20万円以下であっても、原則としてすべての所得を申告します。

名古屋市、横浜市、仙台市などの自治体も、給与所得者が20万円以下の副収入を得た場合、所得税の確定申告は不要でも住民税の申告が必要と案内しています。

ただし、実際の申告要否は、勤務先から給与支払報告書が提出されているか、他に所得があるか、控除を追加するかなどによって変わります。居住する市区町村の案内を確認してください。

なお、「住民税の申告が必要」と「必ず住民税が発生する」は同じ意味ではありません。実際の税額は、給与を含む年間所得、所得控除、税額控除、自治体の非課税基準などから計算されます。

所得税の確定申告をすれば住民税申告は原則不要

税務署へ所得税の確定申告書を提出した場合、その情報が自治体へ送られるため、住民税申告書を別に提出する必要は原則ありません。

手続きは次の2通りに分かれます。

  • 所得税の確定申告をする人:税務署へ確定申告書を提出する
  • 所得税の確定申告をしない人:居住する市区町村へ住民税申告書を提出する

医療費控除などのために確定申告をする場合は、所得が20万円以下の副業も含めて申告します。「20万円以下の副業だけ確定申告書へ書かない」という扱いはできません。

2026年度分から住民税も電子申告できる

個人住民税は、2026年度申告分からeLTAXを利用した電子申告が開始されています。

従来は市役所の窓口や郵送で提出する方法が中心でしたが、対応する環境ではマイナンバーカードを使い、パソコンやスマートフォンから申告できます。

必要書類や利用できる申告方法は市区町村によって案内が異なるため、自治体の住民税申告ページとeLTAXの最新情報を確認してください。

副業所得20万円前後の具体的な判定例

売上、経費、契約形態、ほかの申告理由を順番に確認すると、申告が必要か判断しやすくなります。

例1:売上28万円・経費9万円の業務委託

所得は19万円となるため、条件を満たす会社員なら所得税の確定申告を省略できる可能性があります。

計算は「28万円-9万円=19万円」です。ただし、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は原則として必要です。

例2:売上28万円・経費7万円の業務委託

所得は21万円となり20万円を超えるため、年末調整済みの会社員でも原則として確定申告が必要です。

確定申告書を税務署へ提出すれば、その情報が自治体へ送られるため、住民税申告書を別に提出する必要は原則ありません。

例3:副業アルバイトの給与が19万円

副業アルバイトの場合は、原則として19万円の給与収入をそのまま20万円判定へ使用します。

ほかに所得がなく、年末調整済みの本業給与などの条件を満たせば、所得税の確定申告を省略できる可能性があります。ただし、住民税については自治体へ確認が必要です。

例4:副業所得15万円で医療費控除を申告する

医療費控除を受けるために確定申告する場合は、15万円の副業所得も確定申告書へ記載します。

20万円ルールは「確定申告をしなくてよい場合」を定めた制度であり、「確定申告する場合に20万円以下の所得を除外できる制度」ではありません。

副業の申告漏れを防ぐための確認手順

副業を始めた時点から売上と経費を記録しておけば、年末に20万円を超えたか慌てて計算せずに済みます。

  1. 契約形態を確認する:雇用契約による給与か、業務委託による報酬かを確認します。
  2. 年間収入を集計する:1月1日から12月31日までに得た副業収入を記録します。
  3. 必要経費を集計する:業務委託などの場合は、仕事との関係を説明できる費用を集計します。
  4. ほかの所得を合算する:複数の副業、暗号資産、不動産などの所得も確認します。
  5. 所得税の申告要否を判定する:本業の年末調整、給与収入、ほかの申告理由を確認します。
  6. 必要な申告先を決める:確定申告をするなら税務署、しないなら住民税申告の要否を市区町村へ確認します。
  7. 申告後も資料を保存する:請求書、領収書、利用明細、契約書、計算表を整理して保存します。

支払調書が届かなくても、受け取った報酬を申告しなくてよいとは限りません。銀行口座、決済サービス、クラウドソーシングサイトの取引履歴も照合してください。

住民税を自分で納付すれば会社に副業を知られない?

給与以外の副業所得に対する住民税は「自分で納付」を選択できる場合がありますが、会社に知られないことを保証する制度ではありません。

確定申告書では、「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」について、自分で納付する方法を選べます。e-Taxでも住民税に関する入力画面から選択できます。

ただし、副業がアルバイトなどの給与所得だけの場合は、原則として住民税の徴収方法を選択できません。また、最終的な処理は自治体が行うため、自分で納付を選択しても、状況によっては本業の給与から特別徴収される可能性があります。

会社の副業ルール、競業避止、秘密保持、労働時間の管理は税金とは別の問題です。住民税の納付方法だけで副業に関するすべての問題を回避できるわけではありません。

副業所得20万円以下に関するよくある質問

「20万円以下」という数字だけで判断せず、自分の働き方と申告状況を確認することが重要です。

副業所得がちょうど20万円なら確定申告は不要ですか?

国税庁の基準は「20万円を超える」場合なので、ちょうど20万円は20万円以下に含まれます。

ただし、年末調整済みの給与所得者などの条件を満たすことが前提です。住民税の申告は別に判断します。

副業の売上が20万円以下なら経費を計算しなくてもよいですか?

売上が20万円以下でも、収入と経費の記録は残してください。

複数の副業所得やほかの所得と合算する必要があるほか、住民税申告や翌年以降の申告で資料が必要になる可能性があります。

経費を差し引けば20万円以下になる場合は申告不要ですか?

業務委託などの所得は必要経費を差し引いて判定できますが、経費として認められる支出に限られます。

私的な買い物を経費にしたり、仕事と私生活で共用する費用を根拠なく全額計上したりすることはできません。

フリマアプリで20万円以上売ったら確定申告が必要ですか?

自分で使用していた古着、家具、家電など生活用資産の売却による所得は、原則として非課税です。

一方、利益を得る目的で継続的に仕入れて販売している場合や、貴金属・宝石・書画・骨董などを売却した場合は扱いが異なります。売上だけで判断せず、売却した物と取引目的を確認してください。

住民税を申告しなかったらどうなりますか?

申告が必要なのに申告しなかった場合、自治体の調査後に住民税が追加で課税される可能性があります。

所得情報は住民税だけでなく、国民健康保険料、課税・非課税証明書、児童手当、公営住宅などの判定に使われる場合があります。期限を過ぎた場合も、放置せず市区町村へ相談してください。

20万円以下なら扶養や社会保険にも影響しませんか?

20万円ルールは所得税の確定申告に関する制度であり、税法上の扶養や社会保険の扶養基準とは別です。

配偶者控除・扶養控除、健康保険の被扶養者認定、勤務先の家族手当などは、それぞれ異なる収入・所得基準で判定されます。「確定申告不要だから扶養にも影響しない」とは判断できません。

関連ページ

副業の税金を正しく計算するには、売上だけでなく、手数料・ツール代・作業時間まで継続して記録することが大切です。

まとめ:20万円以下でも住民税の確認は必要

副業所得が20万円以下でも、「何も申告しなくてよい」とは限りません。

  • 20万円ルールは一定の給与所得者が使える所得税の申告省略制度
  • 業務委託などは売上から必要経費を差し引いた所得で判定する
  • 副業アルバイトは年末調整されていない給与収入で判定する
  • 医療費控除などで確定申告する場合は20万円以下の所得も申告する
  • 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は原則として必要
  • 所得税の確定申告をすれば、住民税申告は原則として別途不要

最初に「給与か業務委託か」を確認し、次に年間の収入と経費を集計してください。そのうえで所得税の確定申告が不要なら、1月1日時点で住所がある市区町村へ住民税申告の要否を確認しましょう。

参考にした公的情報

税制や申告方法は改正される可能性があるため、実際に申告する年度の公式情報を確認してください。