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副業の開業届は出すべき?出さない場合との違いを解説

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最終更新日:2026年8月23日

会社員として働きながら副業を始めると、「少額でも開業届を出す必要があるのか」「提出すると税金が増えるのか」と迷うことがあります。

結論からいうと、業務委託、ブログ、ネットショップ、動画編集などを事業として継続する場合は、開業届を提出するのが基本です。一方、アルバイトによる給与収入や、一時的に受けた単発の仕事まで、すべて開業届の対象になるわけではありません。

開業届を出すかどうかは副業収入の金額だけでなく、その活動が「事業」といえる実態を備えているかで判断します。

また、開業届を提出しただけで青色申告になったり、副業収入が自動的に事業所得になったりするわけではありません。本記事では、開業届を出す場合と出さない場合の違い、青色申告との関係、2026年以降の提出期限を整理します。

副業を事業として続けるなら開業届を出すのが基本

反復・継続して利益を得る目的で副業に取り組み、独立して仕事を受けているなら、開業届を提出する方向で考えましょう。

国税庁が案内する「個人事業の開業・廃業等届出書」の対象者は、新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業を始めた人です。

副業の状況開業届の考え方主な理由
業務委託の仕事を継続して受注する提出を検討する独立した事業として継続する可能性が高い
ブログやネットショップを収益目的で運営する提出を検討する広告、制作、仕入れなどの事業活動がある
動画編集やWeb制作の顧客を継続的に募集する提出を検討する営業、契約、納品を自分の責任で行う
休日だけ別の会社でアルバイトする原則不要通常は事業所得ではなく給与所得になる
知人の仕事を一度だけ手伝って報酬を得る事業の実態を確認する一時的な収入なら雑所得になる可能性がある
自宅の不用品を売却する通常は不要継続的な仕入れ・販売事業とは異なる

副業の売上が月1万円だから不要、月5万円を超えたから必要という一律の基準はありません。金額だけでなく、継続性、営利性、設備、営業方法、取引記録などを総合的に考える必要があります。

開業届・所得区分・青色申告は別々に考える

副業の税務では、「事業の実態」「開業届」「青色申告」の3つを分けて考えることが重要です。

確認するもの意味何によって決まるか
事業所得か雑所得か確定申告で使用する所得区分活動の規模、継続性、営利性、帳簿保存などの実態
開業届税務署へ事業の開始を知らせる届出事業を開始した事実
青色申告一定の記帳を条件に税制上の特典を受ける制度青色申告承認申請書の提出と適切な記帳・申告

開業届は、事業を始めたことを税務署へ知らせる書類です。会社を設立する手続ではなく、提出手数料もかかりません。

ただし、開業届へ「事業所得」と記入すれば、その副業が無条件で事業所得として認められるわけではありません。反対に、開業届を出さなければ収入を申告しなくてよいという意味でもありません。

2026年から開業届の提出期限が変わっている

2026年時点の開業届の提出期限は、事業を始めた日の属する年分の所得税の確定申告期限までです。

以前は「開業日から1カ月以内」と案内されていたため、現在も古い期限を掲載している記事があります。しかし、国税庁の2026年1月1日現在の案内では、開業届の提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」とされています。

例えば、2026年4月10日に事業を始めた場合、開業届は原則として2026年分の所得税の確定申告期限までに提出します。

手続き提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書開業した年分の所得税の確定申告期限まで
青色申告承認申請書原則3月15日まで。1月16日以後に開業した場合は開業日から2カ月以内
青色事業専従者給与に関する届出書原則3月15日まで。1月16日以後の開業などは、その日から2カ月以内

注意したいのは、開業届の期限が延びても、青色申告承認申請書の期限は同じではないことです。

開業届を確定申告の直前まで放置すると、青色申告承認申請書の期限だけが先に過ぎる可能性があります。その年から青色申告を利用したい人は、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出する方法が分かりやすいでしょう。

開業届を出す場合と出さない場合の違い

開業届の有無だけで税額や所得区分が決まるわけではありませんが、事業開始の記録や外部手続きでは違いが生じます。

比較項目開業届を出す場合開業届を出さない場合
所得税の金額提出しただけでは変わらない未提出という理由だけでは変わらない
事業所得の判定事業実態を含めて判定される未提出だけで雑所得に確定するわけではない
青色申告別途、青色申告承認申請書が必要青色申告の手続きも別に確認する必要がある
必要経費事業との関連性や証拠に基づいて計上する開業届がなくても必要経費は計算できるが、所得区分や事業実態の説明が必要
確定申告所得や本人の状況に応じて判断する開業届を出していなくても申告義務はなくならない
事業開始の記録税務署へ届け出た記録を残せる契約書、請求書、入出金記録などで開始時期を説明する
外部サービスの手続き開業届の提出記録を利用できる場合がある別の事業確認書類を求められる場合がある
税務上の義務帳簿保存や適切な申告が必要未提出でも記録保存や申告・納税の必要性は変わらない

事業用口座、融資、補助金、保育施設などの手続きで、事業を行っていることが分かる書類を求められる場合があります。ただし、必要書類は金融機関や制度ごとに異なり、開業届があれば必ず利用できるわけではありません。

開業届を出しても自動的に事業所得にはならない

事業所得か雑所得かは書類の名称ではなく、その活動が社会通念上「事業」と呼べる程度で行われているかによって判定されます。

国税庁の所得税基本通達では、事業所得に該当するかどうかについて、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかで判定するとしています。

具体的には、次のような事実を整理しておくことが重要です。

  • 利益を得る目的で活動しているか
  • 単発ではなく反復・継続しているか
  • 顧客募集や営業を行っているか
  • 契約、納品、修正などの責任を自分で負っているか
  • 作業時間や設備を継続的に確保しているか
  • 売上、経費、請求、入金を帳簿へ記録しているか
  • 赤字が続く場合、利益を出すための改善を行っているか

特に帳簿書類の保存は重要です。国税庁は、取引を記録した帳簿書類が保存されていない場合、一定の例外を除き、業務に係る雑所得に該当することへ留意するよう示しています。

したがって、開業届を出したことよりも、日常の取引を継続して記録していることのほうが、事業実態を説明するうえで重要です。

開業届だけでは青色申告の特典を受けられない

青色申告を利用したい場合は、開業届とは別に「所得税の青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。

青色申告には、一定の条件を満たすことで次のような特典があります。

  • 最高65万円、55万円または10万円の青色申告特別控除
  • 事業で生じた純損失を翌年以後3年間繰り越せる制度
  • 一定の条件を満たす家族への給与を必要経費にできる青色事業専従者給与

最高65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告に加えて、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存などの条件があります。

なお、「65万円控除」は税金が65万円返ってくる制度ではありません。事業所得から最大65万円を差し引いて課税対象となる所得を減らす仕組みです。副業の所得が少ない場合は、実際に差し引ける金額や節税効果も小さくなります。

日々の記帳には会計ソフトを使う方法もあります。料金や機能については、副業におすすめの会計ソフト比較|マネーフォワード・弥生・freeeの違いで比較しています。

副業で開業届を出したほうがよいケース

短期的な売上額ではなく、今後も取引を積み重ねる意思と事業としての行動があるかを基準にしましょう。

次のような人は、開業届と青色申告承認申請書の提出を検討する価値があります。

  • 業務委託の案件を今後も継続して受注する
  • ブログ、動画、ネットショップなどを収益目的で運営する
  • 顧客を増やすために営業や広告を行っている
  • パソコン、ソフト、仕入れなどへ継続的に投資している
  • 事業用の口座やクレジットカードを分けたい
  • 青色申告の特典を利用したい
  • 契約書、請求書、帳簿を継続して管理できる

「まだ売上が少ない」という理由だけで、開業できないわけではありません。準備、営業、制作、販売を開始しており、客観的にも事業を始めたと説明できるなら、売上が発生する前に開業することもあります。

ただし、開業日を自由に作ってよいわけではありません。最初の受注日、販売開始日、サービス公開日など、事業を開始したことを客観的に説明できる日を設定し、契約書や領収書などを残しましょう。

開業届を急いで出さなくてもよいケース

雇用契約によるアルバイトや、事業として継続する予定のない一時的な収入には、開業届が適さない場合があります。

  • 別の会社と雇用契約を結び、給与を受け取っている
  • 知人の仕事を一度だけ手伝った
  • 副業を始めるか決めておらず、学習だけを行っている
  • 自宅の不用品を処分しただけである
  • 営利目的や継続性がなく、事業としての実態がない

開業届を提出しない場合でも、副業収入の記録は残しておきましょう。業務に係る雑所得も、原則として総収入金額から必要経費を差し引いて所得を計算します。

会社員の「副業所得20万円以下」に関する扱いは、開業届の有無とは別の問題です。詳しくは、副業所得が20万円以下なら確定申告は不要?住民税との違いをご覧ください。

開業届を出すデメリットと誤解されやすい点

開業届を提出したこと自体よりも、事業を始めた後の記帳、申告、届出管理に手間がかかります。

よくある心配実際の考え方
開業届を出すと税金が発生する提出だけで所得税が発生するわけではない。売上、経費、各種所得、控除などから税額を計算する
開業届を出せば経費がすべて認められる事業との関連性、金額の合理性、領収書などの証拠が必要
開業届を出せば必ず事業所得になる所得区分は活動の実態から判定される
開業届を出せば青色申告になる青色申告承認申請書を別に提出する必要がある
開業届を出すと会社へ通知される税務署が開業届の提出を勤務先へ直接通知する手続きではない
開業届を出すとインボイス登録される適格請求書発行事業者になるには別の登録申請が必要
屋号を書けば名称を独占できる開業届は商標登録や法人登記ではない

会社に副業を知られる可能性は、開業届よりも住民税、社会保険、勤務先での行動、就業規則などと関係します。詳しくは、会社に副業が知られる仕組みとは?住民税・社会保険・就業規則を解説で確認してください。

副業の開業届を提出する手順

青色申告を希望する人は、開業届だけを先に考えず、青色申告承認申請書の期限から逆算して準備しましょう。

手順確認・実施すること具体的な内容
1事業の開始日を確認する受注、販売開始、サービス公開など、客観的に事業を開始したと説明できる日を確認します。
2事業内容を具体的にする「Web制作業」「広告業」「動画編集業」など、実際に行う業務を記載します。
3青色申告を利用するか決める青色申告を利用する場合は、開業届とは別に青色申告承認申請書も準備します。
4納税地を確認する通常は、住所地を管轄する税務署が提出先になります。
5e-Taxまたは書面で提出する書面の場合は税務署への持参または郵送、オンラインの場合はパソコンからe-Taxソフトを利用して提出します。
6提出記録を保存するe-Taxの受信通知、届出書の控え、郵送記録などを保存します。
7売上と経費の記帳を始める開業日以後の取引に加え、事業準備にかかった支出の領収書や利用明細なども整理します。
8地方自治体の手続きを確認する都道府県などへの事業開始申告が必要な場合があるため、所在地を管轄する自治体の案内を確認します。

    2025年1月以降、税務署は原則として提出書類の控えに収受日付印を押していません。e-Taxで提出すると受付番号や受付日時が記録された受信通知を確認できるため、提出事実を管理しやすくなります。

    副業の開業届に関するよくある質問

    開業届、確定申告、青色申告、インボイス登録は、それぞれ目的と期限が異なる手続きです。

    Q.副業の売上が0円でも開業届を出せますか?

    売上がまだ発生していなくても、営業、制作、販売開始などの事業活動を実際に開始していれば提出を検討できます。ただし、学習や検討だけで事業を始めていない段階なら、無理に開業日を設定する必要はありません。

    Q.開業届を出さないと経費を計上できませんか?

    開業届の有無だけで必要経費が否定されるわけではありません。事業所得でも雑所得でも、収入を得るために直接必要だった支出は、証拠を残して所得計算に反映します。ただし、私的な支出を自由に経費にできるわけではありません。

    Q.開業届を出さないと罰金がありますか?

    開業届の未提出だけで所得税額が自動的に加算される仕組みではありません。ただし、事業を開始した人に届出が求められていることは変わりません。また、開業届を出していなくても、必要な確定申告や納税をしなければ、無申告加算税や延滞税などの問題は別に生じます。

    Q.開業日を最近の日付にして提出してもよいですか?

    青色申告の期限に間に合わせるため、実際と異なる開業日を書くことは避けましょう。契約、営業、販売、設備の準備状況などから、実際に事業を開始した日を記載します。開始時期が曖昧な場合は、事実関係を整理して税務署または税理士へ確認してください。

    Q.開業届を出すと会社に副業が知られますか?

    税務署から勤務先へ開業届の提出が直接通知される手続きではありません。ただし、住民税の金額や勤務先での行動など、別の経路から副業を把握される可能性はあります。就業規則や必要な社内手続きも確認しましょう。

    Q.開業届を出すと消費税を納めることになりますか?

    開業届の提出だけで、自動的にインボイス発行事業者や消費税の課税事業者になるわけではありません。インボイス登録や課税事業者の選択は別の手続きであり、登録後の消費税負担も含めて判断する必要があります。

    まとめ

    副業を独立した事業として継続するなら開業届を提出し、青色申告を希望する場合は期限内に別の申請書も提出しましょう。

    開業届を出すかどうかは、売上が20万円を超えたかではなく、事業を開始したかによって考えます。業務委託、ブログ、ネットショップなどを反復・継続して行う場合は、開業届の対象になる可能性があります。

    一方、アルバイトによる給与収入や一度限りの仕事まで、すべて開業届が必要になるわけではありません。

    開業届を出しただけで、事業所得、青色申告、経費、インボイス登録が自動的に認められることもありません。次の順番で準備すると、手続きの混同を防げます。

    1. 副業が事業といえる実態を備えているか確認する
    2. 実際の開業日を決める
    3. 青色申告を利用するか判断する
    4. 開業届と必要な申請書を期限内に提出する
    5. 売上、経費、契約、請求書を継続して記録する

    税務上の判断は、収入額だけでなく活動内容や継続性によって変わります。判断が難しい場合は、具体的な契約内容や取引記録を用意したうえで、税務署または税理士へ確認してください。

    参考資料